はじめての確定申告
更新日:2025年2月17日
会社員が住宅ローン控除を受けるための「はじめての確定申告」
(監修:税理士 森下清隆)
「家を買ったら確定申告しないといけない」って聞くけど、『自分は会社員で、確定申告なんて無縁なので、何のことだかわからない』という方向けに、住宅取得後の確定申告について、簡単にご説明します。『確定申告は敷居が高そうだ』と思われている方に、先ずはイメージを掴んでいただければ幸いです。
はじめての確定申告
そもそも確定申告って何?
会社員の場合は? 確定申告なんてしたことないけど??
家を買ったら何で確定申告が必要なの?
住宅ローン控除について
「住宅ローン控除」って?
この制度の適用を受けるには、所得が2,000万円(床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅については1,000万円)以下であることや返済期間が10年以上の住宅ローンであることなど、いろいろと要件がありますが、要件に当てはまる方については、ざっくり言うと、13年間、ローン残高の0.7%に当たる税金が還ってきます。
住宅ローン減税制度の詳しい内容につきましては、国税庁ホームページをご参照いただくか、税務署にお問合わせ願います。
確定申告をするために
- いつするの?
令和7年は、2月17日(月)から3月17日(月)が確定申告の期間です。ただし、還付申告は1月から行えます。
- どこでするの?
スマホやパソコンを使ってインターネットで電子申告をします。郵送や、お住まいの地域を管轄する「税務署」でも手続できます(国税庁のサイトに確定申告書作成コーナーがあります)。
【手続の方法(以下のいずれか)】
- (1)国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、インターネット(e-tax)で申告
- (2)税務署に行き、税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成・申告
- (3)国税庁のサイトから確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
- (4)国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送
- (5)税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参
- (6)税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
- 必要な書類は?
書類名 |
入手先 |
---|---|
確定申告書 | 国税庁のサイト、もしくは税務署 |
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 国税庁のサイト、もしくは税務署 |
本人確認書類(aまたはb)の写し a マイナンバーカード b マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票 +運転免許証やパスポートなどの本人確認書類 |
市町村役場等 |
建物・土地の登記事項証明書 | 法務局 |
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し | お客さまが不動産会社と契約した書類 |
住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」 | 住宅ローンを借入した金融機関から送付されてきます。※ |
(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合) 耐震基準適合証明書等又は住宅性能評価書の写し |
お客さまが契約した不動産会社 |
(認定長期優良住宅・低炭素住宅・省エネ住宅の場合) 認定通知書の写し又は性能証明書等 |
お客さまが契約した不動産会社 |
- 確定申告書の書き方は?
詳しくは、国税庁ホームページ「令和6年分確定申告特集 住宅ローン控除を受ける方へ」をご確認ください。
書き方の見本はこちらを参照してください。
確定申告するとどうなるの?
税金が還ってきます。確定申告の約1ヶ月後に、指定した金融機関の口座に振り込まれます。
来年以降について
来年以降は?また確定申告するの?
一度確定申告してしまえば、翌年からは年末調整の対象になります(一度税務署に「住宅ローン控除」の対象になる方だと認められれば、後は簡易な年末調整でいいよ、ということなのでしょう)。
翌年以降は、確定申告後、10月下旬頃に税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」と、金融機関から送られてくる「残高証明書」を、年末調整の際に会社に提出します。
ちなみに金融機関からの「残高証明書」は、毎年送られてきますが、税務署からの「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」は、今後の控除期間分がまとめて送られてきます。毎年使用しますので、大切に保管しておきましょう。
確定申告~2年目の年末調整までのイベントフロー
確定申告の準備から2年目の年末調整までに発生する、やらないといけないことや書類の到着時期等のフロー図です。参考にご活用ください。
住宅ローン控除、ココに注意
- 入居する年と住宅ローン契約をする年が違う場合、1年損するって聞いたけど?
入居した年の翌年に、住宅ローンの契約すると、住宅ローン控除の対象期間が1年短縮されます。
住宅ローン控除が受けられるのは「入居の年から13年(または10年)」ですが、入居の年に住宅ローン契約をしていないと、その年は当然住宅ローン控除の対象にならないので、結果、1年短縮されることとなります。入居や住宅ローン契約が年末年始にかかりそうな方はご注意ください。
- 夫婦の共有にしたけど、妻が専業主婦になったら住宅ローン控除はどうなるの?
「住宅を夫婦の共有として、住宅ローンも夫婦の連帯債務で借り入れした場合」で、住宅ローン契約当初は奥様も所得があったものの、その後に奥様が主婦になった等で所得がなくなると、奥様は住宅ローン控除が適用されなくなります。
所得がなくなったことで所得税を払わなくなるので、その結果、住宅ローン控除も適用されなくなるのです。
- 共有持分と連帯債務割合は、夫婦の場合、半々にしておけばいいの?
夫婦で住宅を所有する場合の共有持分ですが、どちらがいくら頭金を出したか、住宅ローンについてはどちらの所得からいくら返済していくか(連帯債務割合)といった出資割合により税金面で影響があります。夫婦の持ち物なので単純に半々、としてしまうと、贈与とみなされ贈与税がかかる場合がありますので、ご注意ください。
例)
- 住宅購入:4,000万円(夫1/2、妻1/2の共有)
- 頭金:1,000万円(夫の預金)
- 住宅ローン:3,000万円(夫2,000万円、妻1,000万円の連帯債務割合)
夫の出資は1,000万円+2,000万円=3,000万円、妻の出資は1,000万円ですので、夫3/4:妻1/4の割合になりますが、住宅の名義を夫1/2、妻1/2の共有とすると、夫から妻へ1/4贈与したことになってしまい、贈与税がかかります。
住宅の共有持分については、住宅の登記を行う前に、出資の実態を考慮してよく検討しておく必要があります。詳しくは税務署にご相談ください。
もっと詳しいことが知りたい
「大体どういうものかはわかった。もっと詳しく知りたい」という方につきましては、国税庁のホームページや税務署等にてご確認をお願いいたします。